ギターと私⑻-レッスンの効果的な受け方
大層な副題を付けてみたが、ことの性格上、箇条書きで記したい。
1. レッスンを休まないこと。
当たり前のことのようだが、これがなかなか難しいことなのではないだろうか?休めば、レッスン効果は「ゼロ」である。たとえ、何も練習していなくても、行けば先生から何かしらのアドバイスを頂ける。それが、自分のギター人生を左右するような貴重なアドバイスかもしれない。
2.少しでも練習してからレッスンに臨むこと。
1.で「何も練習していなくても」と書いたが、それは言葉の綾であって、たとえ楽譜の一段分だけでも練習してからレッスンに臨むべきである。一曲が完成するまでにかかる時間には個人差があるだろうが、スローペースでも進んでいけば、いつかは完成するはずである。
3. レッスン当日か翌日にレッスンの復習をすること。
通常、レッスンは言葉を媒体にして行われるものだから、そのときに納得して聞いたつもりでも、忘れてしまうことがある。翌日がレッスンだと気づいてから練習を始めても、前回に言われたことを忘れていることがままある。先生から指摘された内容を忘れてしまった、といった類の愚を犯さないためにも、レッスンを受けた翌日までにおさらいをするとよい。
4.ミスの原因を考えること。
何回弾いてもミスが多発するパッセージは、だれにもあるものだ。その箇所をやみくもに練習して克服しようとしても、うまくいかないことが多い。ミスには必ず原因がある。もちろん、偶発的なミスは別として、多発するミスは、いわば必然的なミスなのである。その原因を自分なりに考えることが大切である。
5.自分なりに考える習慣を付けること。
生徒は、先生に言われたことを練習で会得していくわけだが、その際に、ほんの少しでも自分なりに考える癖を付けることが望ましい。先生が指摘したことの理由を考えるだけでもいい。これは上級者向けのアドバイスかもしれないが、ある日突然、「これからは自分で考えて練習しなさい。」と言われてもできない相談なので、習いたての頃から、自分なりに考える習慣を付けることである。論語に曰く、「学びて時にこれを習ふ、また説ばしからずや。」
第 7 回の項で、「当時の私には、技量的にコンクールに入選する力はあったと思われる。ただ、何かが不足していた。その何かがわかるまでにはなお数年の時が必要だった」と書いたが、その「何か」とは、上の5.に書いたことだったと、今にして思う。
野村先生に師事していた頃、「自分は指が動くようにしていけばいい、音楽は先生が教えてくれる。」と、信じて疑わなかった。次に師事した後藤先生は、音楽的なことはほとんど何もおっしゃらない方だった。となれば、自分なりに考えるしかない。ただ、彼はおそろしく耳がいい先生で、ちょっとした間違いも聴き逃さずに指摘してくださった。あるレッスンの時に、「おまえは、右指を連続して使うことがあるね。」と指摘されたことがあったが、そのことが私にとっては、「目から鱗」のことであった。その時期、私はすべての音に右手の運指を付けていたものだが、それから自分の演奏が一皮むけたと思っている。普通、ギタリストは左手の運指に気を遣う。しかし、意外と右手にミスの原因が潜んでいることが多い。
(2020.4.16 記)